課題
できごと
小集団クラスで、プリント等の配るものがあるとき、みんな配りたくて先生のところに集まるのが常だった。
それぞれに配るものを渡していたが、ある日、みんな同時に配っているとき、1人の子どもが情緒不安定に。
「ありがとう」をもらえるべきタイミングでもらえていないことにフラストレーションを感じたように思われたので、どう支援するか考えた。
課題設定
支援するべきは、情緒不安定になった子どもというよりは、係をしたい衝動そのままにみんなが動いてしまうこと。(ここが解決すれば、情緒不安定になった子どもも取り乱さなくてよくなる。)
みんなが(同時ではなく)順番に係を担当すること、そして、係でない人は、自分の席に座って待って「ありがとう」を言うこと、を課題として設定し、ソーシャルスキル教材を作成。
教材・支援ツール
構成
- ルール説明のボード(写真左)
- 役割分担のボード(写真右)
- 子どもたちの似顔絵カード(小集団のメンバー1人1人の似顔絵と名前を書いたカード)
制作に使った素材と道具
- 厚紙
- 油性ペン
- ハサミ(似顔絵カード作りに)
- かどまるくん(似顔絵カード作りに)
使い方と手順
ルール説明のボードに書いてあることを、順番に説明する。
「じゃぁ、係を決めようね」
役割のボードについて説明。(役割のボードには次の活動で配るものを書いておく。)
立候補・じゃんけんなど、子どもたちが慣れた手段でそれぞれの役割を決めて、役割分担のボードの各役割の余白に、子どもたちの似顔絵カードを貼る。
「さぁ、やってみるよ♪」
「最初の係は、○○さん。他の人はどうするんだっけ?」と言って、着席したら「そうだね♪ バッチリ!」
係の子どもに必要なものを渡す。
「どうぞ」ができていなかったら、そっと教える。「ありがとう」も、できていない場合には、そっと教える。
「どうぞ」も「ありがとう」も、できたらすぐホメる。「そう!」「いいね」「上手」「かっこいい」「バッチリ」など、短い言葉で。
係の子どもが配り終わったら、次の係に。
先ほどと同じ手順で進める。
各係がすべて終わるまで繰り返す。
ねらい
- 言い聞かせるような形での声かけが必要なくなるため、子どもの自信を傷つけることなく課題へのアプローチができる。
- 視覚的なので伝わりやすい。
効果
- 「どうぞ」「ありがとう」のコミュニケーションができた。
- 係の子どもは、「ありがとう」を言ってもらえるため、ずっと楽しそうに役割を担当できた。
- 係でない子どもは、他の子どもが係をしている間、座って待っていられるようになった。
考案・制作
フクイユウ
原案・参考
なし