できた!への道すじ

できた!への道すじ

発達支援に関わる以前、私は人に何かを教えるとき「どう表現すると伝わりやすいかな?」という発想で、表現や組み立てを考えていました。

まず「より多くの人にピンときてもらえるであろう表現」を考えて、その表現が伝わりにくい人には、表現を変えながらその人がピンとくるポイントを探す…という具合。

発達支援に携わるようになった初期の頃もまだ勝手がわからず、以前からの感覚で指導にあたっていた時期がありました。

その方法で伝わるときもなくはないですが、多くの場合、まず「説明を聞く」ことを嫌がられたように思います。

その後、内外の研修を受けたり、本を読んだり、実践を通して学びながら「教える」「伝える」のではなく、ヒントになる内容をプリント形式で問題として出すのがよさそうだということに気がつきました。

この方法では、子どもは「教わった」形ではなく、「自分で気がついた」「わかった!」という手ごたえとともに進むことになります。それがとてもよいようでした。

できることとまだ難しいことの間をつなぐ教材を作って、子どもの「できた!」の頻度を増やすこと。

学びながら、実践で試行錯誤しながら、個々人に合う方法を探していく作業はとてもやりがいがあり、発達支援というお仕事の醍醐味だなぁと感じるところです。

2024年6月5日(水)山口新聞「東流西流」より


本稿は、山口新聞「東流西流」に書いたコラムの初校です。山口新聞には、2024年6月5日(水)に掲載されました。紙面については、出典明記にて掲載OKいただいています。